ダイエットと汗は、密接な関係がありますが、汗はたくさんかけばいいというものでもありません。たっぷり汗をかこうとサウナに入ったり、半身浴をしたりしていませんか? それがやせるためならNO! です。

 サウナやお風呂でかく汗は「温熱性発汗」といいます。熱さのために体内の水分を放出しているだけで、これで体重が減ったとしても、ただの脱水です。

 これでダイエット成功と思っても、一時的なものです。運動に伴って汗をかくのとは違い、体の代謝が上がって脂肪が燃焼されているわけではないのです。ですから、ダイエットとしての効果はほとんど期待できません。

 また「汗をかいてデトックス」といった効果についても、残念ながら医学的根拠はないのです。ただし血行がよくなったり、心理的にすっきりしたりするというメリットはあるでしょう。

 よく運動は「20分以上続けないと効果がない」と言われますね。これも根拠はありません。運動を始めて20分までは糖分が消費され、脂肪が燃焼されるのは20分後以降。だから運動は20分以上続けないとやせない…。まことしやかに語られている「20分神話」です。しかし、血糖値が普通の状態であれば、実は脂肪は数分間でも燃えるのです!

 そこで私がお勧めするのが「NEAT」(ニート)です。糖尿病予防でもお話ししましたが「Non Exercise Activity Thermogenesis」の頭文字をとったもので、運動以外の生活のなかで使われるエネルギーのことです。日本でいう「若年無業者」のそれではありません。

 家事などで歩き回る、街では階段を使う、電車では座らずに立つなど、まめに体を動かして消費されるエネルギーは、1日の消費量のうち25~30%にもなります。特別に運動をしなくてもやせられるのですから、活用しない手はありません。1分動いて1分休むなどを繰り返してもいいので、こまめに体を動かせば、確実に脂肪は燃焼されます。

 ◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビではコメンテーターのほか、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)など人気番組の医療監修も数多く務める。著書は「今すぐ『それ』をやめなさい!」(すばる舎)「ダイエットはオーダーメイドしなさい!」(幻冬舎)「ねぎを首に巻くと風邪が治るか?」(角川SSC新書)など。気分転換は週2回のヨガ。