睡眠は心と体の休息に不可欠。「目覚め方改革プロジェクト」のリーダーで久留米大学医学部神経精神医学講座の内村直尚(なおひさ)主任教授はこう話す。「よい眠りが、健康でイキイキとした明日に欠かせない。起きている時に一工夫して」。内村教授による「ぐっすり眠るための8カ条」は次のとおり。

<1>就寝前はリラックスする。ゆっくり音楽を聴いたり、アロマなどの香りで心を落ち着かせる。軽い読書をするのもいい。入浴の目安は、寝る1時間前に40~41度のお湯で20分ほどかけて。

<2>眠りを妨げるものは控える。就寝の3~4時間前は、特にアルコールやカフェイン類の飲料を控えよう。喫煙習慣のある人は、就寝前1時間までに。

<3>就寝1時間前より照明を落とし、明るい光を避ける。テレビやビデオなどの視聴、パソコン、スマホの使用は質の良い眠りを妨げる要因に。コンビニなどの明るい環境も、就寝前には控えよう。

<4>午前0時までには床に就く。深い睡眠を取るためには、遅寝するのは禁物だ。

<5>朝一定の時刻に起床する。朝は光を浴びるとより効果的。休日の寝坊も、普段より2時間遅い時間までにしよう。

<6>規則正しい食事。特に朝食が大切で、夜は就寝2時間前の食事は控えよう。

<7>規則的な運動。夕食後の就寝3~4時間前に行う軽い運動が、実は最も効果的。

<8>昼食後、20~30分の昼寝(仮眠)。昼寝は意欲、集中力の増加に役立つほか、夜の睡眠の質の向上や、肥満、生活習慣病、うつ病などの心の病の予防になる。無理に眠らなくてもよく、5分間目を閉じて安静にしているだけでも良い。深く眠るとかえって、夜の睡眠が悪くなる。

「日本の成人の5人に1人は、睡眠に何らかの問題を抱えており、睡眠不足や不眠はうつ病や認知症などの誘因になるといわれる。昼間の仕事の能率低下や、産業事故にもつながりやすい。注目されているのは体内リズムの乱れで、朝の目覚め方が重要視されているのです」(おわり)