医師で作家の鎌田實氏の新連載「ピンピンひらり最新健康法」を展開中です。

71歳の鎌田氏が、長寿時代の今、ピンピン健康に生きて、痛みや苦しみとは無縁で、ひらりとあの世に行きたいという自身の願望を込めて執筆。

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第46回「認知症の初期症状に気をつけろ」

◆アパシー

認知症の初期に、アパシーといって、何事にも無感動で、無気力、無関心になることがあります。

コロナ疲れでうつ的になる人も多発しているので、診断が難しいです。はっきりと目に見えて現れる症状でないため、気づかないまま見過ごされがちです。身だしなみを整えたり、きれいにすることがだんだん面倒になり、放っておくと、入浴や歯磨きもしなくなります。

うつ病の場合、自分がうつ状態であることを認識し、ひどく落ち込んだりしますが、アパシーの場合、自分が無気力・無関心であることに気づかないため、落ち込むことはありません。

◆コーヒーがいい

アルツハイマー病やレビー小体型の認知症でも、初期に嗅覚障がいが起きることが多い。においに鈍くなるのです。

ぼくはコーヒーが好き。1日に3~4杯飲む習慣があります。国立がん研究センター予防研究グループによると、コーヒーを飲むと、心臓病、脳卒中、呼吸器疾患による死亡リスクが低下するといいます。ポリフェノールが多く含まれており、緑茶や紅茶の2倍近く、赤ワインに匹敵するほどです。

◆利き酒がいい

コーヒーのもう1つ良いところは、豆の種類によって、香りや味が違うところです。認知症の前段階や軽度認知障がいでは、味覚も低下すると言われています。

だからぼくはコーヒーを飲む時、味や香りに集中してじっくり味わいながら、銘柄を当てることを楽しんでいます。ワインや日本酒の好きな人も、香りや味の違いを覚えながらたしなむというのも、嗅覚や味覚の訓練となり、認知症の予防につながるかもしれません。

コロナ自粛中にアルコール量が増えている人が多いようなので、ほどほどに。