頻尿、尿失禁は命にかかわる病気ではありません。20~40代を中心とした女性に実施された「軽い尿失禁にどんな対策をとっていますか?」というアンケート(花王調べ)によると、最も多い43%が「おりもの用(普通)のパンティーライナーを使う」と答え、続いて23%が「生理用ナプキンを使う」、同じく23%が「下着をこまめに取り替える」と回答しています。

また外出前に必ずトイレに行き、外出先ではまずトイレの場所を確認する、少しでも尿意を感じたら行く、尿意がなくてもトイレを見つけたら行っておく人や、もれてもわかりにくい濃い色のズボンやスカートをはくという人も多いようです。

また尿失禁を避けるために水分の摂取量を減らす人がいますが、これはお勧めできません。尿が濃くなって膀胱(ぼうこう)炎などを起こす恐れがありますし、便秘がちになることもあります。便秘は骨盤底を傷め、腹圧性尿失禁の原因になります。食事以外の水分摂取量は1日に1500ミリリットル程度が目安です。

しかも症状が症状だけに医療機関を受診することが「恥ずかしい」「面倒だ」などの理由でなかなか踏み出せません。それでも尿が出にくかったり、排尿時に痛みや血尿があるなど、他の症状も伴うときは必ず受診してください! 糖尿病や膀胱炎、膀胱がんなどの病気が潜んでいることがあります。

尿がスムーズに出なくなるものを「尿排出障害」といいます。主な症状は尿の勢いが弱い〈尿勢低下〉や、排尿開始まで時間がかかる〈排尿遅延〉、おなかに力を入れないと出ない〈腹圧排尿〉などです。頻尿や尿失禁の背景にこの尿排出障害があることは少なくありません。

尿排出障害が進行すると、まったく尿が出ない「尿閉」という状態になることがあります。非常に苦痛を伴うとともに腎臓に尿がたまり、腎機能が低下する恐れもあります。尿が出にくいことが深刻な事態に発展することがあり、注意が必要です。さらに、何か股の間に違和感があるような場合は、骨盤臓器脱が疑われます。これも放置しておくと尿が出にくくなったり、便秘になったりすることがあり、早めの受診が必要です。