本紙で前回、男性の泌尿器科の病気を説明してくれた、日本大学医学部泌尿器科学系主任教授・高橋悟氏(59)が、「女性の頻尿・尿失禁」についてお話しします。日本女性の約2500万人もが、オシッコで困った経験を持っているというデータがあります。そのうち成人女性の約400万~500万人が尿失禁を経験、また頻尿に悩んでいる人も少なくありません。それでいて受診をためらう女性が多いことに、同氏は「我慢しないで相談して!」と診察を勧めています。

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では、実際に「骨盤底筋体操」にトライしましょう! 姿勢により4つのバリエーションがありますが、どれも基本は同じです。

◆基本の姿勢(図参照)(1)あおむけに寝て足を少し開き、膝を立てる。股の間はこぶし1つ分ぐらい開ける。リラックスして全身の力を抜く(図1)(2)おなかに手を当て、肛門と膣(ちつ)、尿道に意識を集め、ギューッと胃のほうに引き上げる感じで締める。おなかに力が入っていないか、確かめながらやるとよい。腰、膝などにも力を入れないように(図2)(3)10秒ぐらい引き締めたら力を抜いて10秒ほどリラックス。これを10回繰り返す(図3)(4)同様に速いテンポで「キュッパッ、キュッパッ」と肛門、膣、尿道を締めては緩める。これを10回繰り返す。慣れるにつれ回数を増やす(図4)(5)〈(2)~(4)〉を1セットとして、これを1日2~3セット、毎日続ける。朝起きたとき、夜寝るときふとんの中で行う習慣をつける。

◆応用編(椅子に座って)(1)背もたれのある椅子に深く座り、足を床につけ肩幅に開く(2)手をおなかに当て、肩の力を抜き、背筋を伸ばして顔を前に向ける(3)「基本の姿勢」と同様、肛門、尿道、膣を10秒締めては緩め、10秒リラックスする。これを10回繰り返し、その後速いテンポで10回ほど繰り返す(4)〈(2)と(3)〉を1セットとして1日2~3セット行う

◆同(机にもたれて)(1)足を肩幅に開き、机の前に立つ(2)両手も肩幅に広げ、机につき、体重を腕にかける(3)背筋を伸ばし、顔を真っすぐに前に向け、肩とおなかの力を抜く(4)「基本の姿勢」と同様「締める緩める」を繰り返す

◆同(四つんばいで)(1)床に膝をついて四つんばいになり、肘を立ててあごを支える(2)「基本の姿勢」と同様に「締める緩める」を繰り返す

コツがわかったら、日常生活に取り入れて習慣づけることです。テレビを見ながら、掃除をしながら、いつでもどこでもできます。