■変形性膝関節症

今回から数回に渡って皆さんにお届けするのは、中高年の膝の痛み、変形性膝関節症についてです。

膝の痛みには、年代によって特徴的な原因疾患があります。まずは年齢区分による特徴的な疾患を挙げてみます。年齢区分は幼年期、少年期、青年期、壮年期、中年期、高年期に分けられます。(厚生労働省の提言した「健康日本21」より)。

少年期にはオスグッドシュラッター病や離断性骨軟骨炎など、未熟な骨軟骨にかかる負荷で生じる疾患が多く、青年期には骨折や靱帯(じんたい)損傷などスポーツによって生じるものが多いことが特徴的です。壮年期には使いすぎなどから、早くも変形性膝関節症が見受けられます。

そして中年期や高年期には、加齢に伴う変形性膝関節症が圧倒的に多くなります。それでは変形性膝関節症とはいったいどんな疾患なのか、解説していきます。

変形性膝関節症は、加齢、肥満、膝の使いすぎ、けがおよび遺伝などの多因子要素が関与し、膝関節のクッション機能である半月板や軟骨が変性や劣化によりクッション機能を失うことで発症する疾患です。

膝関節は歩行による荷重負荷の影響を強く受け、炎症が生じると痛みや腫れが続くことから、歩行能力の低下による活動制限が生じます。40歳以上の日本人では、エックス線によって変形性膝関節症と診断される人数が2500万人以上(Road study 吉村ら2005)と報告されています。女性では40歳以上の60%に、男性では40%にエックス線上の変形が認められているようです。