■変形性膝関節症の症状

皆さんには、動き始めや階段を下る時のみ膝に痛みが生じて、歩いている時は痛みが気にならないような経験はありませんか。

この症状は変形性膝関節症の初期から中期に生じる典型的な症状です。日本人では膝の内側が痛くなることが多く、症状が強くなると、関節炎により関節に水がたまることもしばしば見られるようになります。

さらに進行すると歩行時痛も生じ、痛みが取れなくなります。少し古いデータですが、40歳以上の日本人で変形性膝関節症の有病率は男性42・6%、女性62・4%と報告されており(ROAD study 2005-07)、これを05年度の年齢別人口構成に当てはめると、エックス線で変形性膝関節症と診断される患者数は約2530万人と推定されています。

その中で症状のある方は800万人と言われており、変形性膝関節症であっても症状のない方が有症状の方に比べて2倍以上多いことがわかります。整形外科では、この膝の変形を0(正常)から4(重症)まで5段階のグレード(Kellgren-Lawrence分類)で分類します。

通常はグレードが上がればそれに比例して症状が出やすくなりますが、個人差があり、グレード1(変形性膝関節症の疑い)で痛みがある方もいれば、グレード3(中等症)で痛みがない方もいます。また水がたまっていても痛みのある方ない方さまざまです。このように人によって症状が違いますが、動き始めや階段の下りで膝に痛みが出たら変形性膝関節症が始まっている可能性があるため、お早めに整形外科の受診をおすすめします。