■膝の運動療法

私の変形性膝関節症の保存療法の基本的な考え方は、生活の維持や改善のために、活動性を上げることです。

そのために運動療法を中心に行い、筋肉・関節を自分で動かす。そして動かすために薬を使います。それでは運動療法とはいったいどんなことをすれば良いのでしょうか。

変形性膝関節症の痛みを緩和する運動療法は、変形性膝関節症の唯一の国際学会であるOARSIが定めたガイドラインによれば、「有酸素運動」「筋力強化訓練」「可動域訓練」の3つが挙げられます。「有酸素運動」にはウオーキング、ジョギング、エアロビクス、水中運動などがあります。人によって適当な負荷がありますので無理しない範囲で行うことが大切です。

水中運動は浮力により膝にかかる負荷が小さくなるので、痛みでウオーキングがなかなかできない方にもおすすめで、筋力強化にも効果的です。「筋力強化訓練」では主に大腿(だいたい)四頭筋(太ももの前の部分)を行うと効果的で、大腿四頭筋を強化することで膝の安定性を獲得します。立位、座位、臥位(がい)それぞれ方法があり、自分に適した方法で行うことができます。

「可動域訓練」は関節可動域(曲げ伸ばしの角度)を広げる(維持する)訓練です。膝を動かさなくなると可動域が徐々に狭くなってきて、柔軟性がなくなり、膝の痛みも出現しやすくなります。このような運動療法を行い、活動性が減らないように心掛けることは、変形性膝関節症の治療にも進行予防にも大変重要です。