■骨粗しょう症の予防はいつから行うか?

骨粗しょう症は一般的に高齢になると生じてくる疾患で、加齢性変化であることは周知の事実です。しかし、若年者に生じないわけではありません。特に女性の場合、女性ホルモンのバランスが崩れると骨代謝に影響を与えて骨粗しょう症になることがあります。

体重をコントロールする必要がある女性アスリートでは、しばしば低栄養となり、ホルモンバランスが崩れ、骨粗しょう症に陥ることが報告されています。それでは骨粗しょう症を予防するためには、いつ頃から介入すればよいのでしょうか。

骨密度は1~4歳と12~17歳の2つの時期に上昇し、思春期にスパートがみられることが報告されています。そして最大骨量(Peak Bone Mass=PBM)は大腿(だいたい)骨近位部で18歳、腰椎ではおよそ20歳と言われ、その後は40代前半まで骨量を維持し、女性の場合は閉経前から徐々に低下が始まり、閉経後女性ホルモンの減少に伴い急激に低下していきます。

ここでピンときた読者の方もいると思いますが、みな同じ経過をたどるとすれば、18歳のPBMをできる限り高くすることにより、閉経後の骨密度低下を遅らせることが可能となります。そしてより高いPBMを獲得するためには、ピークに達する18歳より前からの介入が効果的と考えられます。思春期に骨密度上昇のスパートがあると前述しましたが、この時期にしっかりとした食事を摂取し、ある程度の強度の運動をすることは、より高いPBMを獲得し、後に生じる骨粗しょう症の発症を遅らせるために大変重要と考えます。