■腰痛

みなさん、腰痛が起こったことはありますか。2019年厚生労働省の国民生活基礎調査の有訴者率では、腰痛は男性で1位、女性で2位と上位を占めています。

急に生じた腰痛を急性腰痛症、長く続くものを慢性腰痛症といい、発症からの期間によって大きく3つに分けられます。発症から4週間未満の腰痛は「急性腰痛」、3カ月以上続く腰痛は「慢性腰痛」と定義されています。そして4週間以上3カ月未満の腰痛は明確には定義されていませんが、「亜急性腰痛」と言われています。

急性腰痛の自然経過は比較的良好ですが、慢性腰痛の自然経過は、急性腰痛に比べて不良であると言われています。この自然経過不良の慢性腰痛の治療には運動療法が有用であり、腰痛診療ガイドライン2019でも強く推奨されています。

しかし慢性腰痛があるからといって、なんでも運動療法をすれば良いというわけではありません。鑑別しなければならない疾患があります。悪性腫瘍、感染、骨折、重篤な神経症状を伴う腰椎疾患(下肢のまひやぼうこう直腸障害を伴う腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄=きょうさく=症など)などがある場合に、不適切な運動療法を行うことは、痛みが改善しないだけではなく、疾患を悪化させてしまうことが心配されます。

腰痛が生じている場合はまず整形外科を受診し、何が生じているのか、上記鑑別疾患がないかどうかなどの診断を受け、リハビリテーションとして理学療法士に運動療法を教えてもらうことをおすすめします。