■ぎっくり腰

みなさん「ぎっくり腰」とは何か知っていますか。ぎっくり腰は病名や診断名ではなく、急に生じた強い腰痛(急性腰痛症)の一般的な名称(通称)です。

何かを持ち上げようとしたり、腰をひねったりして生じることが多いようですが、朝起きるだけでも生じることがあります。その原因には、腰骨(腰椎)や関節(腰椎椎間関節)、椎間板、筋肉や靱帯(じんたい)などさまざまな要素が考えられます。

これらの痛みの大半は1週間もするとかなり軽減します。しかし痛みが取れない場合もあります。特に骨粗しょう症のあるご高齢者の場合は、尻もちをついたり、植木鉢などを持ち上げたりしただけで、腰椎に骨折(圧迫骨折)を起こすことがあり、放っておくと骨折した骨がどんどんつぶれていくことがあります。時にはまひなどの神経症状を引き起こすこともあります。

寝床から起き上がる際に痛みで起き上がりにくい場合などは、かなりの確率で腰や背中にこの圧迫骨折が認められます。これらはレントゲンで見つからない場合もあり、その場合はMRI検査で確認できます。

骨折の他にも、感染や腫瘍が生じていることがあり、これらを放っておくと取り返しのつかない状態になることもありますので、早期に発見して適切な治療を行うことが重要です。

このようにぎっくり腰と思っても、いつもと違う強い痛みや持続する痛みが生じている場合は、すみやかに整形外科を受診して診断を受け、重大な問題が生じていないか確認することをおすすめします。