■肩こり

「肩こり」はありますか。2019年厚生労働省の国民生活基礎調査の有訴者率では、肩こりは男性で2位、女性で1位と上位を占めています。

それでは肩こりとはいったいどんなものでしょうか。四十肩や五十肩も肩こりに含まれると思っている方がいますが、全く別の病態です。肩こりの症状は、首筋や首の付け根から肩や背中にかけての痛み、張った感じ、凝った感じであり、頭痛や吐き気を伴うこともあります。

首の後ろから肩、肩甲骨、背中にかけて僧帽筋(そうぼうきん)という大きな筋肉がありますが、これが肩こりの原因の中心となる筋肉です。この他にも首から肩、背中にかけて肩こりの原因となる筋肉はたくさんあります。

肩こりが生じる原因には、首や背中が緊張する姿勢での作業、姿勢が悪い(猫背)、なで肩、運動不足、精神的なストレス、スマホなどで同じ姿勢を長時間とる、冷房で冷えるなどがあります。

また頸椎(けいつい)疾患、眼疾患、耳鼻咽喉疾患、歯疾患、肩関節疾患、頭部疾患、内臓疾患などの随伴症状として肩こりが生じることもあります。これらの疾患がある場合は、原因疾患の治療が優先されます。

しかし多くの場合は筋緊張が生じて筋肉の血流が悪くなることで生じるため、その治療は筋肉へのアプローチが基本となります。マッサージや温熱療法も効果があると思いますが、やはりストレッチングや筋トレなどの運動療法により筋緊張を和らげ、筋力強化を行っていくことがより効果があるでしょう。