■成長期のトレーニング

子どものトレーニングは年代によって目的が異なることをご存じですか。簡単に言えば小学生までは技術を磨き、中学生になって心肺機能を鍛え、高校生以上で筋力を強化していくことが理想的です。

スキャモンの発育曲線という指標があり、神経系の発達が完成するのは12歳ごろと言われています。すなわち小学生が終わるまではバランス能力、敏しょう性、正確な技術を習得することで神経系を存分に発達させることが大切で、そこで獲得するスキルはその後のスポーツ活動にとっての大事な基盤となります。

特に9~12歳までの時期は物事の「即座の習得」が行われる最も重要な時期として、「ゴールデンエイジ」と言われます。技術の反復練習はもちろん必要ですが、種目を変えて、さまざまなスポーツを行うことで、いろいろな場面での対応力が備わります。

近年では、小さな頃から同じスポーツばかりを週何日も一生懸命に行っている子どもたちが大勢います。体の未熟な子どもが長時間同じスポーツばかり行うことは、使い過ぎによるスポーツ障がいが生じてしまうことにもなりかねません。

私のクリニックを受診される小学生の中にも、体力をつけるために毎日走っているというお子さんも見受けられます。お気持ちは察しますが、前述した通り、心肺機能を高めるトレーニングは早くても中学生からで十分です。そんな時は本人と親御さんに、何よりも技術の獲得、スキルアップに時間をかけるべきだとアドバイスしています。