がんの中で患者数の最も多い「大腸がん」の自覚症状は「血便」が良く知られています。では、「膀胱(ぼうこう)がん」の自覚症状はどのようなものなのでしょうか。それは、「無症候性の肉眼的血尿」です。痛みなどの症状がないのに血の混じった真っ赤な尿が出たときは、検査をすると極めて高い確率で膀胱がんが見つかります。大腸がんの自覚症状は血便でしたが、膀胱がんは血便に対して血尿が自覚症状なのです。
ただ、血尿は1、2日でいったん止まります。「血尿が止まったから問題はない」と勝手に思い込んで、泌尿器科を受診しない人もいます。この点は、血便を知っても「私は痔(じ)持ちだから…」と放置するケースと同じです。そして、2、3カ月後、1年後にまたまた血尿があり、さすがに心配になって受診するケースも少なくありません。結果、1年後には進行した膀胱がんだった、ということもあります。
そして、血尿が自分で分かると、何か異常が見つかる可能性が高いのです。結石、膀胱炎でも血尿が出ます。良性の血尿症、腎臓から血が漏れていることもあります。前立腺肥大症でも血尿が出ることもあります。膀胱炎での血尿の場合は、しばらくすると治りますが、難治性の膀胱炎の場合は膀胱がんが隠れていることがあります。ここは注意が必要です。血尿イコール膀胱がんではなくても、何か異常が考えられるので、血尿を放置することなく、泌尿器科を受診し、しっかり検査を受けるのがベストです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

