歯科医師の照山裕子さんによる通算7回目の連載がスタートです。歯ブラシ、口臭、さらにペットの口腔(こうくう)ケアなど今回も実用的でためになる内容が満載です。
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歯科医師になって20数年、何万という口を診てきました。大学病院や一般クリニック、企業健診など、診断する環境は多岐にわたるものの、生まれてこのかた歯を磨いたことがないという人には会ったことがありません。あらゆる世代において、「食事」と同じくらいの回数を重ねている習慣が「歯みがき」であるにも関わらず、ケアの仕方やツールにこだわりがある患者さんは少数派です。
どこかで耳にした知識を信じ込んでしまい、そのまま何十年も過ごしているというケースも見かけます。これは非常にもったいないことではないでしょうか。
取材や打ち合わせなど、初めてお会いする方たちとのディスカッションも多いのですが、今使っている歯ブラシをいつ使い始めたかという記憶が曖昧なだけでなく、そもそも歯ブラシを買った場所すら忘れたという意見が圧倒的多数。化粧品などを購入する女性にはドラッグストアが身近なものの、足を運ぶ機会の少ない男性にはさらにその傾向が強いように思います。そんな方々に「衛生面から、歯ブラシは月に1度の交換が望ましいのですよ」とお伝えすると、当然ですが目を丸くされます。
私たちは食事をする際、箸が持ちづらければ新しいものと交換します。メニューによって、フォークやスプーンの使い分けもしています。食事を効率よくいただくために、自然と身に付いた選択は実に素早いです。
歯みがきという動作も、これとまったく同じだと捉えて欲しいのです。自分の口に合った製品を選ぶ、動かしやすい当て方をマスターする、みがき残しは他のツールでカバーする。たったこれだけで大切な歯を長く維持することが可能になり、ひいては健康寿命の延伸にもつながります。今年の連載では、皆さんの生活に即実践できるヒントをつづりたいと考えています。質問もどんどんお寄せください。
◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯科医師・博士(歯学)。口と全身の健康に関する解説を行う『口腔ケアの伝道師』として様々なメディアに登場。「“食べる力”を落とさない!新しい『歯』のトリセツ」(日経BP)「口の強化書」(アスコム)ほか著書多数。

