先日美容院に行った際、ドライヤーの話題になりました。私は絡みやすい軟毛であるものの非常に毛量が多く、湿気の多いこの時期は大変苦労します。

好きな美容家さんがSNSで紹介していた高級ドライヤーをキャンペーンで買い求め、絶賛愛用中なのですが「それ、照山さんには合っていないかもね」との美容師さんからの一言は目からうろこでした。確かによくよく考えてみると、その○○さんは薄毛でボリュームを出したいというお悩み、私の髪質とは正反対です。

こうした勘違いは歯科医院を訪れる患者さんにも見受けられる傾向で、「歯みがき剤を使わない方が歯に良い」「硬くて頑丈な獣毛の歯ブラシがいちばん」といった誤解に遭遇します。結論から言えば、歯みがき剤は使用した方が良いですし、獣毛は衛生面からあまりおすすめできないというのが現代の歯学における共通見解です。

歯ブラシや歯間清掃用具(デンタルフロスや歯間ブラシ等)、歯みがき剤や洗口液(マウスウォッシュ等)に関しては、口の環境に合わないものを使い続けている方が非常に多い印象です。なかでも特に誤解が多いのは、歯みがき剤の選択です。

歯みがき剤の成分には、汚れを効率良く落とす、あるいは泡を発生させて隅々まで行き届かせる「機能成分」と、歯ぐきの腫れや知覚過敏等の症状に合わせた薬効が期待できる「薬用成分」が含まれています。

「機能成分」だけで作られている歯みがき剤は「化粧品」に分類されますが、着色汚れを取って歯を白く見せる、含有される香料のマスキング効果で口臭を防ぐ、口の中を浄化して爽快感を出すといった文言が並ぶため、一見誰にでも当てはまりそうな商品に見えます。しかしながら、もし気になる口臭を招く原因が歯周病由来なのであれば、香料だけでは根本的な解決にならず、無用の長物になりかねないのです。

◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯科医師・博士(歯学)。口と全身の健康に関する解説を行う『口腔ケアの伝道師』として様々なメディアに登場。「“食べる力”を落とさない!新しい『歯』のトリセツ」(日経BP)「口の強化書」(アスコム)ほか著書多数。