職場や家庭で、近くにいる人の口臭に悩まされているという声はとても多いです。こうした問題がなぜ、なかなか解消しないのかというと、口臭のもとを勘違いしている方がほとんどだからです。「胃腸が悪いから」「食べた物がにおうから」など、生理現象が原因であるという誤解が根強くはびこっています。実際の原因をひもといていくと案外あっさり解決するにも関わらず、努力しないのは大変もったいないことです。

口臭の原因の9割は口の中の汚れです。口臭はなんとなく年配になると増えるイメージがあるかもしれませんが、若い世代にも目立ちます。この夏休み中に「子どもの口がくさい」と親御さんが歯科医院に連れて来たケースでは全員、磨き残しが顕著に認められました。

台所の生ごみは、放置するとすぐににおいます。ぬめりを生じていたら掃除もそれなりに大変です。これを口の中に置き換えてみたらシンプルです。つまり口臭の原因として最初に疑うべきなのは「食べかすや歯垢(しこう)除去が不十分」である可能性です。

年齢を重ねるとさらに、歯周病リスクという要素が加わります。歯周病を引き起こす原因菌は、繁殖する際に硫黄を含んだ揮発性ガスを放つ特徴をもちます。温泉に行った時に漂う、ツーンとした刺激臭を思い出してください。あのような強いにおいが歯周ポケットや舌から拡散されているのですから、周囲が不快になること間違いなしです。当然、歯周病が進行していればいるほどひどくなります。

また、においの正体は気体(ガス)である点もポイントです。口がカラカラに渇いていれば、気体を吸い取る唾液(水分)が減り、においが吸収されなくなります。口腔(こうくう)乾燥症状によって口臭は助長されると考えてください。薬の副作用などでも口の渇きは起きますが、常に口をぽかんと開けている「口呼吸」は要注意です。