気温も少しずつ下がり、空気が乾燥する季節が近づいてきました。電車の中でせきをしようものなら白い目で見られ、周りから人がいなくなる「ドーナツ化現象」が起きていたコロナ禍が遠い昔に感じられます。「第5類」にカテゴライズされてからは公的な報告義務がなくなり情報がめっきり減りました。まだまだ感染者数は増加傾向にあるようですので、秋冬も気をつけて過ごしましょう。
むせている若者は見かけないのに、お年寄りはよくむせるイメージがあります。これにはちゃんと理由があり、加齢によって唾液量が減ってくるからだと考えられています。唾液には、自然に流れ出る「安静時唾液(無刺激唾液)」と、味覚や咀嚼(そしゃく)などの動きによって分泌する「刺激時唾液」の2種類がありますが、年齢と共に安静時唾液が顕著に減少します。高齢になるほど全身の疾患リスクも上がるので、何らかの薬剤を服用している方の割合も増えます。花粉症の薬などは分かりやすく口がカラカラになりますが、大抵の薬剤にはこうした「口渇」と呼ばれる副作用が見られることもわかっています。
唾液の分泌量が減ると何が困るかというと、虫歯リスクも上がってしまう点です。唾液の中には緩衝作用(酸性に傾いた口の中を中和する作用)や再石灰化作用(歯を補修して硬く保つ作用)といった、歯を守る要素がたくさん含まれています。単純に水分が足りなければ汚れが流されないので、洗浄作用も低下します。むせが気になるようになったら、同時に虫歯対策も必要なのだと心得てください。こまめにゆすいで口を潤わせるような習慣はもちろん、口周りを意識して動かすことで刺激時唾液が出やすくなります。歯のくびれ、いわゆる根元に近い部分は削れやすく、虫歯ができやすい場所です。ここに高濃度フッ素配合の歯磨き剤を擦り込む対策も有効です。

