「健康のために朝食は野菜ジュースのみ」という若い女性患者さんがいます。定期検診で広範囲に初期虫歯が見つかったため食生活をヒアリングしたのですが、ご本人が普段から意識していた生活習慣が体には逆効果だったことがわかり、大変ショックを受けられていました。

市販の野菜ジュースには原料由来の栄養素が一定量含まれており、パッケージにもわかりやすく特徴が記載されています。とはいえ野菜や果物を搾り加熱殺菌する過程で失われる栄養素も多く、サラダ代わりにするには相当量が必要です。

原料をそのままかじる場合と異なり、かむという動作がない点がいちばんのデメリットです。咀嚼(そしゃく)すれば自然と唾液が出ますし、もぐもぐと口を動かす摩擦が自浄作用になります。ところが液体を飲むだけであれば、こうした働きが期待できません。水分で洗い流さない限り、口の中に糖質がべっとり滞留してしまうのです。

原料をミキサーにかける自家製スムージーも大流行しましたが、やはり同様のリスクがあります。生では食べにくいケールなどの葉野菜がとりやすい半面、苦みを打ち消すために果物やはちみつなどの甘味を足しすぎているケースもあります。体によいと思って作っていたのに、血糖値の急上昇を招いていたら本末転倒です。

栄養価の面ではパックのジュースよりは多少フレッシュである、繊維質も一緒にとれるという利点を生かし、通常の食事にプラスする形が理想的です。もしこうした時間が取れない場合は、飲んだ後に水でしっかりゆすいで口の中をリセットしましょう。

カロテノイド(β-カロテン、リコピンなど)やカリウム、鉄といった栄養素は、加工による影響を受けにくいことがわかっています。必要なものは便利に補いつつ、毎日の食事にどう取り入れるかを賢く計算しましょう。知識のアップデートが大切です。