開幕を目前に控えるメジャーで「バット投げ」論争が勃発した。これまで何度も議論されてきたテーマだが、今回は選手やOBら数多くの人を巻き込み、かつてない大論争に発展している。ことの発端は、昨季ア・リーグ地区シリーズ第5戦で、ブルージェイズのホセ・バティスタ外野手が勝ち越しの3ランを放ちバット投げが「絵になる」と話題になったが、最近になって元ヤンキースの殿堂入り選手リッチ(グース)・ゴセージ氏がESPNのインタビューで「野球を冒涜(ぼうとく)している」とバット投げを批判したことから始まっている。

 その後、ナショナルズのブライス・ハーパー外野手は「野球は退屈なスポーツ。本塁打を打った打者がもっと喜びを表現するなど、演出があった方がいい」とバット投げを肯定するような意見を述べる一方、エンゼルスのマイク・トラウト外野手は「バット投げは投手を侮辱している。僕は他人をおとしめるようなことはしない」と発言。さらにレッドソックスの主砲デービッド・オルティスは「パワーヒッターが本塁打を放った後にする行為を批判する人がいるとすれば、その人は人生で1本も本塁打を打つことがない人だ」と主張した。一方、歴代最高の捕手と呼ばれた元レッズのジョニー・ベンチ氏や本塁打王に8度輝いた元フィリーズのマイク・シュミット氏もバット投げを激しく批判するなど、殿堂入りした往年の選手は次々とバット投げ反対の声を上げている。

 それにしてもメジャーの新旧大物が、これだけ論争に加わるというのは珍しい。昔かたぎのOBたちがそろってバット投げを批判するのは納得がいくが、24歳の若きスターであるトラウトも昔かたぎな考えなのだと分かる。米国選手の多くがバット投げに批判的で、中南米選手は肯定的という両者の文化の違いも目立つが、23歳のハーパーがバット投げ肯定派なので、若い世代では考え方が多様化しているようだ。バティスタのバット投げは野球カードやビデオゲームにもなっているので、見る側のファンは楽しんでいるように思う。

【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)