逆境をどうはね返していくのか-。プロのアスリートを見る魅力は、そんなところにもある。昨年、西武からメジャーに挑戦した牧田和久投手(34)が苦しんでいる。招待選手としてパドレスのメジャーキャンプに参加していたが、17日(日本時間18日)、マイナーキャンプへと配置転換された。目標だったメジャー昇格は、今キャンプではかなわなかった。

牧田は追い詰められていた。3月7日、オープン戦に今季初登板。2四球で走者をため、3ランを打たれて交代を告げられた。「自分の今の立場的には結果しかない。余裕も全くない。今日みたいな投球をしていたら、後はない」。登板直後の言葉には、悲愴(ひそう)感さえあった。

テンポ良くストライクを取り、打者のタイミングを外して打たせて取るという本来の投球にはほど遠かった。「打たせてとるというより、三振という風になってしまっている」。改善すべき点は分かっていた。だが、頭では理解していても体が言うことを聞かない。「パーフェクトに抑えないと」。完璧を求める精神状態が、マウンド上で冷静さを失うことにもつながってしまったのかもしれない。

11年にプロ入りしてからコンスタントに成績を残し、日本を代表するサブマリンとして昨年、海を渡った。だが、メジャーで最初の14試合で防御率6・75と打ち込まれた。それ以降はマイナーとメジャーの行き来を繰り返し、今年も、マイナーでの開幕となった。

今後は、メジャー40人枠の空きが出るまでマイナーで結果を残して、待ち続けることとなる。施設や待遇など環境が劣る中、忍耐力も必要だろう。キャンプ中「死にものぐるいでやる」と負けん気を見せていた牧田。ここからどうはい上がり、復活するのか、そのプロセスに注目したい。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)