【アナハイム(米カリフォルニア州)26日(日本時間27日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(24)が、昨年10月1日に右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建手術を行ってから初めてブルペンに入った。

久々のマウンドで43球を投げ「楽しかったですね」と気分よく臨んだレッズ戦では「3番DH」で3安打。17年のWBC準決勝で先発し、侍ジャパンを封じた先発ロアークから2安打し、軽々と上回った。やっぱり大谷には二刀流が似合う。

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因縁の相手をねじ伏せた。WBC準決勝で侍ジャパンに立ちはだかったロアーク。打者の手元で動くボールと速いテンポで、エ軍打線を打たせて取った。大谷は「全球種しっかり投げ分けていましたし、いいボールもたくさんあった。その中で甘い球をしっかり打てた。特にいつもと変わらずに」とクール。チームで1人、簡単に2本を連ねた。

第2打席では甘く入ってきたスライダーを捉えた。右中間への二塁打はメジャーで自己最速の打球速度185・4キロ。「(打球が)速ければヒットになる確率も高い。自分がいいタイミングで捉えていないと、そういう速度も出ない」。難敵を難なく攻略し、第4打席で内角低めのボール球を捉える技ありの左前打。今季4度目の1試合3安打以上をマークした。

高揚は試合前にあった。昨年10月1日のトミー・ジョン手術から初めてのブルペン投球。マウンドから投げるのは、昨年9月2日アストロズ戦に登板して以来、297日ぶりだった。「気持ちよく投げられたと思います。懐かしい感じはしました。特に変わらずに準備できましたし、慣れていきたい」と素直に言った。

立った捕手に21球、座った捕手に22球。5割ほどの力で、喜びをかみしめるように丁寧に投げた。「また一段階上がって、ブルペンで投げるのも楽しいですし、そうやってちょっとずつ上がっていくのは、どの段階でも楽しいかなと思います」。次回のブルペンは3日後の予定。どちらの刀が欠けても大谷ではない。来季の二刀流フル回転に向け、着実に刃を研いでいく。

◆タナー・ロアーク 米イリノイ州出身で13年にナショナルズでデビュー。16年は16勝10敗、防御率2・83を記録しサイ・ヤング賞投票10位にランクインした。17年WBCでは米国代表として出場し、準決勝の日本戦に先発。菅野と投げ合い4回2安打無失点で勝利に貢献した。平均球速148キロのツーシームを駆使し、バットの芯を外してゴロを量産する。昨オフにレッズと1年1000万ドル(約11億円)で契約。今季5勝6敗、防御率3・36。