巨人が2連勝を飾り、雨天中止で試合がなかった首位阪神とのゲーム差を1・5に縮めた。次戦は10月1日阪神戦。甲子園での直接対決へ向かう。先発戸郷翔征投手(26)が出色の投球で流れを呼び込んだ。初回から球威ある直球で押し込み、5回まで完全投球。9回2死から広島中村にソロ本塁打を許し、四球も重ねた場面で交代も、3カ月ぶりの5勝目を挙げた。

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登板2日前、戸郷がブルペンで決断した。「最初普通に投げていたんですけど、10球くらいで後ろから入ってみようかと」。久保巡回投手コーチとともに取り組んできた、左足を一塁側にステップする新フォームを封印。二塁側にステップする従来のフォームに戻すとしっくりきた。「右の内角、左の外に良い軌道が出せていなかった。こんなに良くなるとは思ってなかった」。シーズン最終登板を目前にして、原点に戻る決断を下した。

きっかけの1つは7月に負った左太もも裏の肉離れだった。プロ8年目で初の“ケガリセット”。9月に復帰後もフォームは日々探り探りで「バランスを意識したら出力が落ちたり。でも出力を意識して力で投げるとバランスが良くない。日によって違うしあんばいが難しい」とハマらなかった。

戸郷の言う「バランス」には明確な感覚がある。重要なのは左足が着地した瞬間だ。「地面からの反発がきれいに(力のベクトルが)左の股関節に入ってくると最高。てこの原理と一緒です」。地面反力を測定する「フォースプレート」も活用するが、数字だけを答えにしない。「試合では機械なしでやらなきゃいけない。『これが良かったから、こういう数値が出た』って分かってないと」。最後に頼るのは、積み重ねてきた自らの感覚だった。

だからこそ、2日前の決断にも迷いはなかった。長年染みついたフォームに戻し、3カ月ぶりの白星はもう少しで完封の好投。それでも、新フォームへの挑戦を失敗とは捉えていない。「今までのフォームのデメリットとかメリットとかも、フォームを変えてから理解できた。今までやってきたから、たくさん失敗してきたからこそ得られたもの」。フォームは原点回帰でも、選手としての厚みははるかに増している。【小早川宗一郎】

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