政界地獄耳

改憲派も護憲派も「敵」作る方法だけ?/政界地獄耳

★自民党のやり方なのか、それとも党憲法改正推進本部長・下村博文の発想なのか、同本部は5日、国際医療福祉大教授・川上和久(政治心理学)を党本部に招き「憲法改正国民投票の最大の壁とは」と題して戦略指南を行った。川上は資料を示しながら、投票に向けて改憲派も反対派を敵と位置付け、名指しで批判するなどネガティブキャンペーンが必要とした。つまり疑似内乱を誘発させようというわけだ。

★そもそも与党を構成する自民党が思想信条を軸に国民を対立させ、改憲派は味方、護憲派は敵という構造を作るべきという勉強会を行うことに違和感を持たないのならば自民党も落ちたものだ。川上は国民投票となれば「野党(と一部マスコミ)による激しい『反』安倍キャンペーン」が始まり、「不安があおられる」と予測。その上で「改憲派自身も何らかの『敵』を作り、国民の不安、怒りなどを覚醒させるしか方法はない?」と時事通信は伝えている。

★そもそも、改憲の中身も自民党は国民に示さず、護憲派は敵という構造だけを作り上げようとする感覚が理解できない。党内の護憲勢力、例えば宏池会は「憲法9条を守るべき」が信条の派閥だが、理屈で言えば敵になる可能性もある。では連立を組む公明党はどうだろう。激しい「反」安倍キャンペーンが始まるから敵が必要なのかもわかりにくい。

★もうそんな党内議論でなく、元来、改憲という国民運動に広げたいのならば、本来敵を作るよりも味方を増やすことを政党は考えるものではないのか。改憲のみならず、改憲議論のプロセスまでゆがめ始めた自民党を正面から議論を挑める政党に覚醒してもらいたい。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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