政界地獄耳

「上級国民」は忖度政治のツケ/政界地獄耳

★衆院補選の自民党候補2敗について政治部や政治評論家の面々は沖縄と大阪の特殊事情と解説する。いずれも野党支配が続いているということ、何度自民党が挑戦しても勝てないこと。だが、沖縄は辺野古の基地建設を反対する民意が知事選や県民投票、そして今回の補選でも明らかに出ているのにもかかわらず、その政策を変えない政府と与党にその問題解決のボールがあるにもかかわらず、向き合わないこと。大阪は維新と官邸の蜜月に政権与党が歯が立たないという有権者に分かりにくい構図がある。いずれも特殊な事情などではなく、問題をあいまいのままにした、やりっぱなしの政権の問題だ。

★時を同じくして痛ましい交通事後が続いた。池袋の暴走では、事故を起こした87歳の男性は逮捕されず「さん付け」で報道され、神戸の暴走では、64歳のバス運転手が自動車運転処罰法違反(過失致死)容疑で現行犯逮捕されて「容疑者」と呼ばれている。メディアにはそれなりの表記の理屈があるのだろうが特に、池袋の男性が元通産官僚幹部で元機械メーカーの副社長、さらには叙勲まで受けていることから「『上級国民』だから逮捕されないのか」という声がネットにあふれている。そもそも上級国民などないし、超法規が適用されるなどということはないはずだがなぜそんな声が上がるのか。

★政治家は元号を決めるような立場。そんな人は無理を通せる、高級官僚は議事録を黒塗りにしたり、公文書を改ざんしたり、国有地の値下げにも政治家の口利きがあればやってくれる。発覚しても責任を取るどころか栄転したり天下ったり、とがめられるどころか評価されている。ここ数年、そんな状況を見せつけられていれば国民には見えない上級国民がいると思いたくもなる。忖度(そんたく)政治、忖度行政をやり続けて、決着を見なかったツケが上級国民の存在として出来上がったといえる。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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