政界地獄耳

「カードは複数」と言うけれど/政界地獄耳

★日本政府が韓国に対して輸出規制を強化することに対して日韓両国とも国民感情が沸騰している。日本は国民性から製品を壊したり燃やしたりすることはないが、韓国はそれを行い日本製品の不買運動もあるという。両国のナショナリズムが燃え上がる環境は隣国同士としては決して良い状態ではない。無論、輸出規制を行使した理由があるのならば、両国が真摯(しんし)に点検すべきだ。WTO提訴はあるのか否か、またどちらに有利に働くか興味深いが、極めて国内政治向きであることも忘れてはならない。

★なぜならば、今は参院選の最中だからだ。つまり日本政府が態度を軟化させるのは来週以降になるということだろう。政府関係者が言う。「参院選の前に修正する必要はない。政府の姿勢は世論に評価をされている。そこもあって政府としては国際機関に調査を依頼するより先に、まずは当事国同士で解決の努力をするのが先決という立場。日本政府は韓国が仲裁委開催に応じ、輸出管理体制を是正するなら輸出規制を再び緩和する余地はある」という。

★日本が提案した第三国仲裁委について韓国のハンギョレ新聞は「大統領府の主要関係者は『(18日までに)特別な回答はないだろう。(日本の提案を)受け入れることはできない』と話し『日本政府の輸出規制状況に何ら変化がない状況で、被害者が同意しない解決方式を追加検討することはできない』」と付け加えた。だが日本政府も強気だ。「日本政府は証拠を押さえている。カードは複数ある」。別の政府関係者は「ずいぶん前から練ってきたプランだ。WTOに抵触しないで、韓国にも影響があるものを選んでいた」と満を持しての攻勢だという。物腰からして外務省主導ではないことはわかるが、事態の収拾まで見据えているのかといえば出たとこ勝負の感もぬぐえない。政治決着しても両国の国民感情や、今後の南北関係、転じて日朝関係の展望までできていなければ最後はカードの多い方に分があるということになる。複数のカード程度で勝てるのか。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

おすすめ情報PR

社会ニュースランキング