政界地獄耳

安倍は今年も加害責任に触れず/政界地獄耳

★15日の令和最初の終戦の日には政府主催の全国戦没者追悼式が、例年通り日本武道館で開かれた。天皇、皇后両陛下、首相・安倍晋三をはじめ三権の長と全国の遺族約5000人が冥福を祈った。注目されたのは天皇陛下が令和になり戦後生まれとなったことで、そのお言葉が注目された。陛下は「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、ここに過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」と結んだ。

★全体的には上皇さまのお言葉を踏襲した形になったが、上皇さまが象徴としての在り方を絶えず模索したように、陛下も戦後生まれの天皇としてのかたちを作り上げられるかどうかが、今後の大きなテーマとなることだろう。国民や政治家に戦後生まれが圧倒的に増えるとともに、戦争の惨禍の記憶が薄れたりあいまいになったり、時には賛美に変わる場合もある昨今、その痛みを「人々」と分かつにはいかような方法があるのか、令和の課題になるだろう。

★一方、首相の式辞では「戦争の惨禍を、2度と繰り返さない。この誓いは、昭和、平成、そして、令和の時代においても決して変わることはありません」としたものの歴代首相が触れてきたアジア諸国への加害責任に触れなかった。言及しないのは第2次政権発足後の13年の追悼式から7年連続になり、平成以来の「新しい判断」となったが、そこに積み重ねられた議論はなく、首相の世界観を披露しているだけとなっている。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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