政界地獄耳

ドヤ顔小池を不安視する五輪組織委/政界地獄耳

★緊急事態宣言を発令した首相・安倍晋三も、発令を受けた大都市部の住民と国民も、困惑と不安を感じながら固唾(かたず)をのむという様相だろう。ひとり気を吐き鼻息荒いのは都知事・小池百合子だ。ついこの間まで東京オリンピック(五輪)の行方ファーストだったが、今は「あたしの言う通りにしていればいいのよ」と顔に書いてあるようなドヤ顔で、7月の都知事選挙まで駆け抜けようとの腹積もりだろう。ところが、その五輪を忘れて緊急事態措置に懸けている小池を不安視する五輪組織委員会がある。

★6日、東京オリ・パラ組織委員会事務総長・武藤敏郎は「多少の遅れならば取り戻せるが、間に合わなくなることがないとも限らない。注意したい」と緊急事態宣言による五輪の準備への影響に懸念を示した。「必須の業務は許可を得て出勤できるようにしたい」としているが「社会がこの状態では身動きができなくなるし、都庁内も政府も対策に追われる。今まで通りの準備が進められるか」との声も出ている。政府の経済補填(ほてん)が絶望的な今、国民は自分にとって何が優先順位かを考えることを強いられる。

★つい3月下旬まで、小池も政府も組織委員会も東京五輪の予定通り開催を進めていた。ところが海外の競技団体や各国組織委員会から延期や中止を求める声が相次ぎ、IOCと日本の組織委員会は追い込まれていく。なぜ首相がIOCのバッハ会長と会談して延期を決めたのかはいまだに謎だが、政府の債務保証という意味合いならば、中止という選択肢も残すべきだった。緊急事態宣言を目前に高校野球、大相撲、プロ野球、Jリーグなどの国民的スポーツやプロリーグが中止や無観客試合になるなど、ここでも初動の判断ミスが響いているが、野球やサッカーはいまだ今後のめどが立たない。無論、五輪の成功に越したことはないが、アマスポーツの祭典にこだわりすぎてプロスポーツが経営的に成り立たなくなる懸念が、五輪中止などの批判につながりかねない。緊急事態宣言が国民の心理にどんなものを植え付けるか、注視したい。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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