政界地獄耳

足並み乱れる「オール沖縄」/政界地獄耳

★沖縄県北部に位置する今帰仁(なきじん)村。11月からスイカが出荷されることで有名だが、今月9日、県知事・玉城デニーが支援する現職村長が落選した。玉城も選挙の応援に駆け付けたが及ばなかった。今帰仁村は玉城の衆院議員時代の地盤、沖縄3区でもある。6月7日に投開票された沖縄県議会選挙でも、玉城を支える与党は25議席を獲得し、かろうじて過半数を維持。与野党の議席差は2しかなく薄氷を踏む勝利で、非与党に1人移れば議会運営が混沌(こんとん)とする可能性もある。

★知事与党の構成は4会派、野党1会派、中立2会派で、与党最大会派は所属議員8人の「沖縄平和ネットワーク」になる。同月30日の県議会での正副議長選出選挙では、正副議長とも野党の沖縄・自民が主導する形で前知事・故翁長雄志がまとめた「オール沖縄」の足並みが乱れた。議長に選出された県議・赤嶺昇は知事与党の立場だが野党・自民党、公明党などが支持した知事与党会派「おきなわ」の議員。副議長は自民の県議・仲田弘毅が選ばれた。仲田はうるま市選出。ここも玉城の元の地盤だ。

★赤嶺は就任後「与党のスタンスは変わらないが、今は与党への信頼関係がない。当面の間は与党連絡会には参加しない。新型コロナウイルス感染症や基地問題など課題が多く、県民視点に立つ議会運営が求められている」と発言した。オール沖縄は、知事選の互助会だったのか。知事選に勝てばいいのだろうか。翁長政治や翁長イズムを継承していくための、塊だったのではないか。沖縄政治では自民党の人気は少し劣るかもしれない。だが政治的な手練手管はオール沖縄の数倍修羅場をくぐり、キャリアもある。玉城を支える頼りの議席、選挙も既にギリギリの状態だ。今、中央政界では野党の大きな再編が起きようとしている。オール沖縄の面々は、もっと本気で組織を固め知事を支えないと足をすくわれるだろう。それが政治だ。75回目の終戦の日を前に、沖縄に思いをはせる。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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