そもそも「依存」することと、熱中するということとは根本的にどう違うのか。ネット依存に取り組む「成城墨岡クリニック」の墨岡孝院長(精神科医)はこう話す。

 「たとえば将棋が好き、小説を読むことが趣味だといった、何かに没頭するということは昔からあることです。しかし、ネットやスマホ依存への問題は、それに“終わりがない”ということが最大の特徴だということです」(墨岡院長)。

 顕著な例はゲームである。かつてはゲーム機単体でプレーヤーがひとりであれば、そこに必ず終わりがあった。ところが、ネットが発達し不特定多数の人がつながる「オンライン」では歯止めがなくなった。墨岡院長が続ける。

 「終わりがないから抜けられない。ゲームを作って利益を得ている側は多くの人を参加させたいのでそうした傾向が強い。(ゲームで問題となっている)“課金”についても、今は“時間”で得ようとするため、長くやればそれだけいいアイテムが手に入るといったビジネスモデルに変わってきているので、ますます熱中してしまうわけです」

 たとえば中高生が好むゲームでも、夜中の時間帯ほど点数が増えるといったシステムで顧客の獲得に血眼になるという。ユーザーは眠いのを耐え、ゲームを続けないと仲間外れにまでされるという。

 「仲間がいるのでなかなか抜けられないわけです。子どもたちが夜遅くまで起きているという場合は、いまやほとんどがネット、スマホをやっているからなんですね」(墨岡院長)。

 こうした「ゲーム依存」は、現在もっとも多くみられる現象。特に青少年の心と体に大きな影響を及ぼしている。墨岡院長はこう警鐘を鳴らす。

 「夜中に起きていることで、今度は朝が起きられない。すると当然学校に行かなくなってしまいます。つまり不登校の一因になるわけです。不登校で家にいるということになると、やることがないのでまたゲームにのめり込むという悪循環に陥るのです」