「健康日本21」は、厚労相が定める国民の健康増進の総合的な推進を図るための基本的な方針として、2000年(平12)にスタートした運動です。正式名称は「21世紀における国民健康づくり運動」、開始時点から10年後にあたる10年までの数値目標が掲げられ、これまでにさまざまな施策が実行されてきました。23年(令5)現在は第三次に入っています。歯科領域に関しての表記は、スタート時が「歯の健康」という項目だったのですが、第二次からは「歯・口腔(こうくう)の健康」に変わりました。歯だけが残っていても食事が満足に取れるとは限りません。口全体を消化器官として捉えるようになった変化が、こうした部分からも読み取れます。
口周りの衰えは、決して高齢者だけの問題ではありません。子どもの口唇閉鎖不全、いわゆる「お口ぽかん」も、口周りの筋肉をしっかり使えていないことが引き金となって起きます。21年に発表された新潟大大学院医歯学総合研究科小児歯科学分野の研究によると、日本人の子どもたちの30・7%が日常的なお口ぽかんだったという報告が出ています。年齢とともに増加し、自然に改善しにくい疾病の可能性があるとも書かれています。
口を閉じる力が弱いと、歯を取り囲む口唇やほお、舌といった部分からかかる圧力のバランスが崩れるため、歯並びの乱れにつながります。口呼吸が日常化することで病原菌やほこりが体内に入りやすくなる、口臭が発生しやすくなる他、学習における持久力や活動量の低下などさまざまな弊害を引き起こします。小さなお子さんの前歯に虫歯が見つかった際、口呼吸が原因のことも少なくありません。成長を健やかに導くためには、口元や顔貌(がんぼう)の変化も見守る目線が大事になります。

