診療の際には、患者さんたちに普段使っているアイテムを尋ねるようにしています。私たちの目が届くのは治療に要する30分~1時間程度、生活全体で見るとごくわずかです。患者さんが過ごす毎日の中で、セルフケアを行っている時間の方が圧倒的に長く、すなわちその方の口の環境に与える影響力も大きいのです。
ケアの方向性が間違っていると、何度通院しても歯周病が改善しないなど残念な結果につながりやすいので、習慣の見直しというのも口の健康には大切です。
長年ヒアリングを繰り返した経験から得た印象ですが、洗口液(マウスウォッシュ)を使っている方は近年とても増えたように思います。口臭対策としてエチケット目的で購入すると答える方が大半で、身だしなみにまつわる意識の高まりを実感します。コロナ禍など、感染リスクを考えなければならない出来事があったことも理由のひとつかも知れません。
ところが実際にその商品を確認すると、誤った使い方をしている患者さんがとても多いというのも現実です。洗口液だと思ってゆすいでいた液体が、液体歯みがき(液状の歯みがき剤)だったという患者さんの割合は実に9割以上でした。洗口液は「適量を口に含んでゆすぎ吐き出す」ことで口の中の汚れを洗い流し清潔に保つ、口臭を予防する効果が期待できます。かたや液体歯みがきは「適量を口に含み吐き出したあとにブラッシングする」必要があります。皆さんがよく使っている練歯みがき(ペースト状の歯みがき剤)と同じように歯ブラシ併用が必須なアイテムです。
どちらも同じようなボトルに入った液状かつ、ドラッグストアなどでは並んで置かれています。液体歯みがきなのに、正しい使用方法を確認しないまま「ぶくぶくゆすいでおしまい」では効果半減です。ご自宅にあるボトル、すぐにラベルをチェックしてみてください。

