国内では約530万人の患者数が推定されている慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)になると、体を少し動かしただけでも息切れが生じやすくなる。このとき肺はどうなっているのか。
「空気の通り道の気管支の先は、細気管支が小枝のように伸び、ガス交換の小さい房の肺胞へとつながっています。COPDは細気管支の内腔が狭くなり、気流障害を引き起こすのです」と、公益財団法人結核予防会 複十字病院呼吸不全管理センター長の木村弘医師(奈良県立医科大学名誉教授)は説明する。
「気流障害を起こすと同時に、肺胞の壁が壊れることで肺胞と肺胞の間の血管へのガス交換が難しくなります。これが肺気腫であり、COPDの病態のひとつです」(木村医師)。
COPDでは、炎症によって細気管支の壁が厚くなった結果、内腔が狭くなり空気の通りが悪くなる。また、肺気腫により、肺が縮もうとする本来の力(弾性収縮力)が弱くなるため、細気管支を外向きに引っ張ろうとする力も低下し、さらに空気の通りが悪くなるという。
体を動かしたときに呼吸が速くなると、吸った空気を吐き出す前にさらに新たな空気が入ってくるため、肺がこれまで以上に膨らんで苦しくなる。
「ガス交換がうまくいかないと、血中の酸素不足を補おうとして心臓から肺への血流も増えます。心臓に負荷がかかり、肺の血管(肺動脈)にも強い圧力がかかることで肺高血圧にもつながります。COPDの細気管支障害や肺気腫は、他の病気を合併するリスクも高めるので注意が必要です」と木村医師は話す。

