心房細動のある患者の脳梗塞の起こしやすさを示すCHADS2スコアでは、足の動脈硬化症、女性が1点プラスとさらに重みづけされました。日本独自の採点表もあります。85歳以上の超高齢者が2点、やせすぎや心房細動が止まらないタイプの人ではプラス1点となります。
一方、心房細動には3つの型があります。<1>通常は正常の脈であるけれど時々心房細動になる発作性<2>心房細動が1週間以上続いている持続性<3>心房細動がずっと(1年以上)続いていて検診で必ず指摘される長期持続性。放っておけばおくほど治らなくなる不整脈です。「どれほど上手に治していくか」の話は後日まで楽しみしてください。
私が駆け出しの研修医だった頃、心房細動は治らない病気でした。先輩指導医から「薬のさじ加減で症状を良くしてあげることが一番の治療」と教わりました。77歳の男性の患者さんでした。大雪が降ると雪かき作業中に強い動悸(どうき)を訴えて病院を受診。発作性心房細動です。当時はあの薬この薬で心房細動を治そうと四苦八苦しました。不整脈を治す薬の効果は4割くらいしかありません。効いたと思ったら再発を繰り返していました。
1年がたった頃、「先生、おかげさまで楽になりました。雪かきしても動悸がなくなりました。ありがとうございます」と言われました。「それは良かったです。薬が効きましたかね」と喜んだのもつかの間、心電図には心房細動の波形が! 当時の医療の限界に打ちひしがれ、正常の脈に戻すこともできない自分を嫌悪しているペーペーの医者にほほ笑むおじいさんの顔が忘れられません。
心房細動が発作性から持続性へ変わると、多くの動悸は消えてきます。さらに薬は症状だけを良くします。脈拍をコントロールする治療とは、動悸を散らす治療なのです。これでは心房細動は治りません!!

