私が不整脈研究をしていた米クリーブランド時代のボスが、心房細動の患者に対するAFFIRM試験の主要メンバーでした。正常の調律に戻すための強い抗不整脈薬は、バラバラの脈をコントロールするだけの弱い抗不整脈薬に勝てませんでした。正常の調律を保つことは非常に大事ですが、抗不整脈薬が1年間正常の脈をキープする効果は40~60%程度で、副作用もあり悲惨な結果となったのです。

理想は副作用がなく正常の調律を維持することが出来る治療です。カテーテルアブレーションを適切かつ安全に高い成功率で行うことが求められます。

AFFIRM試験の最も重要なメッセージを一言でまとめると「血液をサラサラにする抗凝固薬が脳梗塞の予防に極めて重要である」ということ。これが心房細動治療の基本であり鉄則です。この鉄則のもと、正常調律を維持するため心房細動を「治す」治療と心房細動のまま脈を調整しながら「つきあう」治療のいずれかを選択します。

心房細動の状態は患者ごとにさまざまです。脈を正常に戻すことができるか、心房細動とうまくつき合っていくか、心房細動の状態を詳しく調べてから適切に判断して治療を進めなければなりません。

今日は競馬の有馬記念の日です。出走を待ちながら、あるいは振り返りながら読んでいる方もいるでしょう。スポーツ新聞や情報誌で勉強し、パドックや返し馬で状態をつぶさに観察して推し馬を決めたのでしょうか。それとも一番人気だから、インターネットで見たとか安易に決めたのでしょうか? やはり厩務員レベルで馬と接している経験のある方の意見が重要なのでしょう。心房細動の最適な治療を選ぶ場合も、馬に一生を捧げる厩務員のような専門医との出会いが大切です。