『加齢性難聴』はその病名通り、年を取るに伴って起こってくる疾患です。ただし、ゆっくりと進行するため、本人はなかなかその病気に気付きにくいという特徴があります。
加齢性難聴の始まりは、「ちょっと高い音が聞きづらい」ところから始まることが多いので、本人は「何か特定の音が小さく聞こえているかも……」といった程度です。これが何の前触れもなく、ある日突然に音が聞こえなくなる『突発性難聴』のようであれば、「あっ、大変だ!」とすぐに気付きます。徐々に進行する加齢性難聴は気付きにくいのです。
加齢性難聴が少し進行するとテレビの音を大きくしないと聞こえ辛くなってきます。これも急速な変化ではなく、ボリュームを12で聞いていたのが1年後に17になる程度では、本人は気付きません。そこからさらに進行すると、音量だけではなく言葉の聞き取りが悪くなります。自分では気付かないうちに、「えっ、えっ」と聞き返しが出てくるようになってきます。
「テレビの音が大きいよ」「話している時、何回も聞き返しているよ」と、このような指摘が周囲の人々からあるようであれば、難聴を疑う段階に入ったと思ってください。難聴は自分では気付きにくいので、「たいしたことではない」などと思うのではなく、素直に「周囲の人々の意見を取り入れましょう」。
そして、耳鼻科を受診する第1歩にしてください。これが難聴を早く発見するポイントです。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)

