フィギュアスケート女子の坂本花織(17=シスメックス)が万全の状態でオリンピック(五輪)デビューを果たす。日本代表の小林芳子監督(62)は10日、坂本が8日から3日間ソウルに滞在し、練習していたことを明かした。前日9日に同監督が「休養している」と事実と異なる説明をしたのは、情報戦の一環だった。坂本は今日の公式練習から合流し、出番が決定的な12日の団体フリーに備える。

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 五輪会場から姿を消していた坂本の行方が明らかになった。最年少の元気印は前日9日、江陵アイスアリーナの練習用リンクで行われた公式練習を欠席。団体を応援するチームシートにも座っておらず、小林監督は「休養しています」と説明していた。「確かにちょっと疲れてはいます」とも語り、体調不良などが懸念されたが、この日になって「ソウルで練習していました」と事実が明かされた。

 “雲隠れ状態”になっていたのは、今日11日に行われる団体女子ショートプログラム(SP)が影響していた。この日の午前10時に定められていたエントリーにより、エース宮原の出場が決定。小林監督は「(坂本がソウルにいることを)公表すると『(選手)村外に出ちゃったら、ショート(SP)はないでしょ』となる」と他国との情報戦などを理由とし、坂本が今日11日に再合流すると説明した。

 大きな理由は練習時間の確保だ。8日朝に本番リンクで40分間の練習を実施。しかし、翌9日とこの日は、練習用リンクでそれぞれ35分間と十分な時間が用意されていなかった。そのため8日の午後から高速鉄道(KTX)でも2時間程度かかるソウルに移動し、前日9日は3時間ほど練習。小林監督は「ここ(江陵)から移動すると体も疲れます。だけれど、ここにいれば鈍る」とてんびんにかけた上での選択だった。

 昨年11月のグランプリ(GP)シリーズ第6戦から3戦連続210点超えとノリノリな坂本は、明日12日の団体女子フリーで五輪デビューを果たすことが決定的。シニア1年目ながら、豊富な練習量で成長してきた。4日に韓国入りした際には「今は勢いしか良くないので、ズバズバいきたいと思います」と力強く宣言。21日から始まる個人戦に最高な形でつなげるためにも、「秘密の特訓」の成果をリンクで見せつける。