この大会はファン投票優先で走れる大会だ。自分の何が支持されているのか、考えながら走ってほしい。

1予4Rと5Rで山崎芳仁・歩夢親子が走る。2人はどんな気持ちでこの大会を迎えたのだろう。

私の父親も競輪選手だったが、有名な選手ではなかったので騒がれなかった。ベテラン選手から声をかけられる程度だったので、父親の存在をそんなに意識することはなかった。

しかし、歩夢は違う。G1タイトルを9個取った名選手の息子だし、常に父親の存在を意識せざるを得なかっただろう。


ヤマコウが注目する山崎歩夢
ヤマコウが注目する山崎歩夢

引退して間もない頃、野原雅也に父親のこと(哲也さん)を聞いたことがあった。私と雅也は距離が近かったので、父親のことばかり話していると「もう父親の話はよくないですか?」と言われたことがある。その時私はハッとした。「父親の話はどこに行っても聞かれる。雅也は自分の話を聞いてほしいのだ」と気付いた。

報道は分かりやすいところを紙面にするし、誰もが聞きやすい。しかも読者も親子の物語は分かりやすいので一石三鳥だ。しかし、息子は一個人だし自我もある。緊張するのは父親だけでいい。歩夢には偉大な父親を意識することなく等身大の自分と戦ってほしい。

先日の富山G3で歩夢を見かけて声をかけた。向こうは硬い表情であいさつしてくれて他の新人と全く変わらなかった。突っ張り先行メインで頑張っていたが、今回は選考委員会推薦枠でもある。まずは、山崎歩夢は何がしたい選手なのかを知ってもらうことが大切だろう。(日刊スポーツ評論家)