今季の国内女子ゴルフは今週のツアー選手権リコー杯を残すのみ。賞金シード50位以内は、前週の大王製紙エリエール・レディースをもって確定した。初シードをゲットした11人のうち、昨年7月のプロテストに合格した小祝さくら(8位)、松田鈴英(10位)、勝みなみ(11位)、新垣比菜(22位)と今季優勝、優勝争いの常連だった黄金世代と言われる顔ぶれが目立った。また、今年のプロテストに合格した同世代の原英莉花(37位)や大里桃子(49位)も確保した。

今季、ルーキーをはじめとしたQT(予選会)順位でツアー出場した選手たちには短期的な目標があった。それは大会出場の優先順位をシーズン途中で入れ替えるリランキング制度だ。前半、中盤と2回実施。6月のアース・モンダミン・カップ終了時の1回目のリランキング10位以内で8人が、そして9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン終了時の2回目のリランキング10位以内では全員が賞金シードを確保した。特に勝、小祝らルーキーたちはスタートダッシュに成功。そのまま勢いを持続し、好成績につなげた。

開幕前、日本女子プロゴルフ協会の小林浩美会長は同制度導入について「競争力が高まって、よりいいパフォーマンスが期待できる。1打に対するしがみつき方はがばっと出ると思います。執念が選手から出るはず」と意図を説明していたが、そのもくろみ通りの激しい競争が展開されたと言っていい。藤田さいき(51位)、笠りつ子(52位)、渡辺彩香(55位)、川岸史果(60位)、吉田弓美子(65位)、西山ゆかり(69位)、服部真夕(82位)ら過去の優勝者たちをはじめ、計15人がシードを喪失。シード選手の平均年齢は26・4歳で、記録が残る01年以降では13年の26・7歳を更新する若返りとなった。新陳代謝の激しさも物語っている。

年間獲得賞金で決めるシード。これまで長期的な視点で出場試合、調整方法を考える計画性が求められてきた。今回のリランキングという短期的な目標が設定されたことで、賞金シード争いに新たな刺激が加わった。同制度の導入は成功だったと思う。20日から3次QTが2会場で始まった。そして来週からは3次QTを通過した選手、シード喪失の決まった選手たちも含めた最終QTが始まる。最後の最後に、疲労した肉体へムチを打つ執念があるか、ないか。ツアー出場権を懸けた非情な戦いは、まだ終わっていない。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)