黄金世代の小祝さくら(21=ニトリ)の初優勝で幕を閉じたサマンサタバサ・レディース最終日に、1つの記録が次へとつながった。小祝と同世代で、今季2勝を挙げた渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、最終日も70で回り、連続イーブン以上のラウンド数を18と伸ばした。

トップはアン・ソンジュ(韓国)の28で、2位が吉田弓美子の24、3位に申ジエと穴井詩の23と続く。渋野の記録は現時点で16位タイ。同世代の畑岡奈紗と並び、11位タイの河本結らにあと1ラウンドと迫っている。渋野は「疲れた。パターが入らないんで。アンダーで回ってこられて良かった」と喜んだ。

黄金世代では、ジュニア時代に大きな実績もなく、決してゴルフエリートではない。両親ともに筑波大陸上部という運動能力の遺伝子を受け継ぎ、少女時代は男子に交じってソフトボールで活躍した、物おじしない性格。そこにゴルフの技術がマッチして、プロ本格参戦の今季に才能を開花させた。国内メジャー初戦のワールド・サロンパス・カップがツアー初優勝。さらに資生堂アネッサ・レディースで2勝目。いずれも韓国人の強豪に競り勝った。そして、18ラウンド連続イーブン以上という安定感。

黄金世代にはいろんなキャラクターがいるが、渋野は他と一線を画す。開けっぴろげで、突き抜けた明るさ。ラウンド中も、誰とでも談笑できる社交性。そこが渋野の魅力でもある。そんな渋野が、スタート前に必ずやることがある。ティーグラウンドに立つと、まずフェアウエーの方を向いておじぎをするのだ。そして、ギャラリーへ向いて頭を下げる。

選手紹介のときにギャラリーや主催者にあいさつする選手は多いが、コースに頭を下げる選手は珍しい。渋野は「ギャラリーの方もそうですけど、これからプレーするコースにも、それを整備してくれたみなさんにも感謝の気持ちです」という。少年野球や少年サッカーの子どもたちも、試合の前後にグラウンドに礼をするが「私もソフトボール時代の影響があるのかも」と渋野は話していた。

そんな渋野が、来月1日から初めてのメジャー、AIG全英女子オープンに出場のため25日に出発する。「(記録は)イギリスじゃあ無理だと思うんで、次に国内で出るmeijiから」と、明るく笑いながら気負いなく話した。進化の止まらない渋野が、英国で、初のメジャーでどんな経験を持って帰るか、楽しみだ。【桝田朗】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

ティーグラウンドでリラックスする渋野日向子(右)と小祝さくら(2019年7月19日撮影)
ティーグラウンドでリラックスする渋野日向子(右)と小祝さくら(2019年7月19日撮影)