<衆院議員 馳浩(53)>

 昨年の東京五輪招致活動に、自民党の招致推進本部長として関わりました。プロレスラーとしての経験も役立ったと思います。お客さんが何を望んでいるかを読む、野性の勘です。

 その日の会場がどんな場所で、チケットは手売りかネットか、売れ具合も判断し、時間や季節、テレビ中継の有無、試合でのメンバーの順番、タッグかシングルか、いろいろな情報を仕入れ、状況に応じて試合内容を変えます。望むレベル以上のものを出さないと、お客さんは喜んでくれません。IOC委員が東京に望むのは何か。それ以上の計画性や理念を示さないと、東京には五輪はやって来ない。だからとにかく、情報が必要でした。

 そのためには、直接相手に会って話をしなければだめです。それも通訳を介さずに。そう教えてくださったのはIOC元副会長の猪谷千春さん。今も胸に刻んでいます。今後も、できればローザンヌのIOC本部、ボンのIPC本部などを訪れ、国際機関の方々と交流し、五輪の理念をどう具現化するか話したいです。

 この夏、日本は猛暑が続きました。6年後の暑さは想像もできませんが、大会期間は真夏。さらなる対策が必要です。ここは日本の科学技術の粋を集め、日本の暑さ対策が世界水準になるようにしたい。路面材も開発されているし、最新のウエアや設備を開発することが、東京五輪の目的の1つである「日本のレガシー(遺産)」にもなるのではないでしょうか。必要な対策を講じ、暑い国でも夏季の五輪が開催できるとなれば、中東のカタールでも可能になります。

 レスリングでいえば、20年東京五輪では金メダル10個を目指したい。はったりです(笑い)。でも、はったりを利かせないと強化はできません。64年東京大会の目標は、金メダル8個。当時の八田一朗・日本レスリング協会会長の名前から取ったという、伝説があります。私も、八田イズムの後継者。10個を目指さないと、取れないと思います。(2014年9月24日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。