「卓球を国民的スポーツにする」。これが私の描く東京オリンピック(五輪)後のレガシーです。温暖化が進む中、野外競技が難しくなってくる。卓球は室内競技で、それほど場所も取らず、子どもからお年寄りまでプレーでき、故障もしづらい。事故も少なく安全です。身長、体重の競技への影響が少なく、日本人に合っています。

そのためには東京五輪をきっかけに、実際に卓球に触れてもらう人を増やしたい。2024年パリ、28年ロサンゼルス、32年と五輪は続いていきますが、競技力はもちろん「普及」にも力を入れていきたい。今、日本協会として、卓球台を全国の小中学校や公共施設に配布する事業に協力しています。

今後、少子化で学校の廃校も増えてくる。廃校はそのまま放っておけば、地域にとって怖い存在になってしまうが、卓球台を置いて、地域住民が卓球を楽しめる施設になれば、相乗効果が生まれます。

高齢者同士が病院でコミュニティーを作る際にも、卓球台を中心につながれば、医療費削減にもつながります。ゲートボールは雨の日はできませんが、卓球なら毎日できます。利益の一部を還元し、地域貢献したいという協力企業と連携し、実現していきたい。

35~40年には、学校体育の必修にしてもらうべく、30年ごろに文部科学省に申請したいとも考えています。それまでに卓球を全国に普及させる必要があります。20年ほど前から立てているプランです。

かつては「ネクラ」と言われた卓球ですが、愛ちゃん(福原愛)が登場して以降、政策的に卓球選手がテレビのバラエティー番組に出て、人気が上がってきました。先日の全日本選手権に来られた方たちの、複数から言われたのが「卓球会場には、ほとんどヒゲ、茶髪の選手がいないことが驚き」ということでした。卓球選手が真面目な点も国民に受け入れられやすい部分だと思います。

「健康」に加え、スポーツには「平和」を実現する力があります。卓球は226協会が国際卓球連盟(ITTF)に加盟し、世界のスポーツ競技連盟の中で最大です。日本でのさらなる普及で、世界平和への懸け橋となっていければと思います。(290人目)