【平昌(韓国)=峯岸佑樹】女子回転座位で村岡桃佳(21=早大)が銀メダルを獲得した。大回転の金を含む全5種目で表彰台に立ち、冬季の日本選手で最多となる1大会5個のメダルを手にした。今大会は「私に始まり、私で終わる」と話していた通り、日本選手団で最初と最後のメダルを獲得して有言実行した。日本勢のメダルは金3、銀4、銅3の計10個だった。

 パラリンピックで「桃佳」が大輪の花を咲かせた。最終種目は村岡が苦手とする回転。1回目で2位につけ、2回目も200メートルの荒れたコースを攻め続けた。中盤で横に転倒したが「何かが吹っ切れた」と無心で再滑走。意地で銀メダルをつかみ、今大会5個目のメダルを手にした。「(転倒で)諦めそうになったけど、初日に『私に始まり、私で終わる』と言ったので、『絶対に終われない』との思いでゴールだけを目指した。朝まで取れると思っていなかったし、正直、驚いている」と振り返った。

 同競技初日の10日の滑降で日本選手団初のメダルを獲得した。メダル量産が期待されたアルペンチームの「勢い」をつけるためにも「私に始まり、私で終わる」と公言した。あえて、自身へ重圧をかけた。試合を重ねるごとに責任感が増し、有言実行した。14年ソチ大会5冠の「絶対女王」シャフェルフーバー(ドイツ)とも互角に戦った。アルペン女子座位で全5種目のメダルは村岡ただ1人だった。

 この4年間で心技体が成長した。「プレッシャーに弱い」と言っていた村岡は、メダルを重ねるごとに自信をつけた。自身に繰り返し「やれば出来る子」と言い聞かせて臨んだ。「4年で成長できたけど、(大会期間の)10日間でもたくさん成長できた」と充実感をにじませた。

 最高成績が5位だったソチ大会から4年。2度目の大舞台はこれ以上ない結果で幕を閉じた。メダル授与式では、メダル10個を誇る大日方邦子団長が“後継者”をうれしそうに見守った。これからは追われる立場となる。「金メダルはゴールに近い印象だったけど、まだ通過点」。やれば出来る子-。21歳のヒロインは4年後の北京大会を見据えた。

 ◆冬季パラリンピックの同一大会複数メダル これまで1大会4個が最高だった。すべて98年長野大会のアイススレッジスピードスケート勢で武田豊(金3、銀1)松江美季(金3、銀1)土田和歌子(金2、銀2)奥山京子(銀2、銅2)金井良枝(銀1、銅3)の5人が記録した。アルペンスキーは94年リレハンメル大会の黒須高(銀1、銅2)98年長野大会の大日方邦子(金1、銀1、銅1)と06年トリノ大会の大日方(金1、銀2)の3個が最高。夏季大会の最多は04年アテネ大会の競泳で成田真由美が記録した8個。