南米初開催のリオデジャネイロ・パラリンピックが7日午後6時15分(日本時間8日午前6時15分)から行われる開会式で幕を開ける。日本からは17競技に総勢132人の選手が参加。12年ロンドン大会から倍増の金10個を含む40個のメダルを狙う。NHKのハイライト番組「パラリンピックタイム」(8日スタート、午後10時または午後10時25分)のキャスターを務める、同局の久保田祐佳アナウンサー(33)にリオ大会の注目と魅力を聞いた。

 史上最多41個のメダルを獲得したリオ五輪から16日-。もう1つの戦いの幕が開く。久保田アナは出場選手132人の中から3人の注目選手を挙げた。

 1人目は、競泳男子100メートルバタフライで悲願の金メダルを狙う木村敬一(25=東京ガス)。「先輩を超え、競泳界のエースとして出場するダイナミックな泳ぎに期待です。特にスタートの速さに注目です」。木村は同じ全盲で、パラリンピックで計21個のメダルを獲得した河合純一さん(41)の背中を追い続けてきた。12年ロンドン大会100メートルバタフライ決勝では尊敬する河合さんを上回る、銅メダルを獲得した。

 静岡市出身の久保田アナは、浜松市出身の河合さん、沼津市出身の岩崎恭子さん(38)の“静岡コンビ”が活躍した92年バロセロナ五輪・パラリンピックが「特に印象的だった」と言う。

 2人目は視覚障害者による柔道で、夫婦でメダルを目指す女子57キロ級の広瀬順子(25)。夫の悠(37=ともに伊藤忠丸紅鉄鋼)は90キロ級で出場する。「夫婦での取材では本当にチャーミングで、順子さんがご主人のことが大好きということが伝わります。柔道の時の顔と素顔のギャップがすてきで、表情にも注目です」。2人は昨年12月結婚。稽古や減量、休日など24時間一緒に行動する仲良し夫婦だ。

 3人目は自転車の藤田征樹(31=日立建機)。大学時代に自動車事故で両足膝下を切断、世界的にも珍しい両足義足のアスリートだ。昨年のロード世界選手権で優勝。「両足義足で自転車というのが驚きです。義足でトライアスロンをしていて、自転車競技に転向後、世界王者までなって格好いいです」。

 団体競技では2連覇を狙うゴールボール女子や、車いすラグビー、車いすバスケットボールにも期待している。

 NHK東京アナウンス室では昨年から東京パラリンピックへ向けて有志が集い、定期的にパラスポーツの勉強会を開催している。久保田アナも参加し、公休を利用するなどして各競技の取材をしてきた。「選手は事故や病気をきっかけに新たな人生に挑戦している。パラリンピックを目指す経緯はさまざまですが、マイナスではなく、人生の可能性を広げているところがかっこいい。そんな背景にも注目するとより面白いと思います」と魅力を語った。【峯岸佑樹】

 ◆久保田祐佳(くぼた・ゆか)1982年(昭57)11月15日、静岡市生まれ。慶大卒業後、05年NHK入局。静岡局に配属され、08年に東京アナウンス室へ。これまでの主な担当番組は「NHKニュース7」「ブラタモリ」など。現在は「クローズアップ現代+」など。10年に同僚と結婚。趣味は合唱と読書。好きな食べ物はイチゴ。158センチ。血液型O。