平野歩夢選手(19=木下グループ)は過去最高の演技だったが、ホワイト選手がそれを上回った。

 技のバリエーションが勝敗を左右し、点差の2・5点は「越えられない壁」だった。平野選手は95・25点を出した2回目で5発跳んだが、2~4発目と後方宙返りの技になった。総合得点は同じような技だと点数は加算されない。一方、ホワイト選手は平野選手と同じく4回転連続を成功させ、さらに後方回転より難しい横回転など高難易度の技を入れてきた。4発目では彼しか出来ない決め技「ダブルマックツイスト1260」(縦2回転する間に横3回転半)を繰り出した。戦場で例えると、平野選手はライフル1丁、ホワイト選手は大砲とミサイルで戦うぐらいの技の差だった。平野選手はXゲームで世界初となった「フロントサイドダブルコーク1440」「キャブダブルコーク1440」の4回転連続の技を見せてしまったのも裏目に出た。五輪で初披露していれば、得点も伸びて金メダルも取れていたかもしれない。(06年トリノ五輪代表)