平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)フィギュアスケート男子で五輪金メダル候補の宇野昌磨(20=トヨタ自動車)が7日、会場の江陵アイスアリーナで初練習を行った。現地入りから一夜明け、2度の練習でいきなり4回転ジャンプを25本中14本成功させるなど絶好調。それでも「五輪という実感はない」と特別感はない。日本スケート連盟が用意した「映像サポート」も使い、明日9日から始まる団体戦に最初のピークを合わせる。

 誰もが憧れる五輪会場でも、宇野は宇野だった。1万2000人収容の客席、紫に統一された壁面。氷上に刻まれた五輪マークさえも「すみません、五輪(マーク)が入っていたのを全然見ていなかった。まだ五輪っていう実感がない」とサラリと笑った。氷は「特別硬いとか、柔らかいとか感じなかった」。そこに大舞台の特別感はない。

 それでも苦手な時差調整がない隣国で、体はキレキレだ。昼すぎと夜の2度設けられた本番リンクでの練習で、次々と4回転ジャンプを決めた。「挑戦するジャンプ」に定めるフリップとループはミスがあったが、トーループは10本中9本成功。残り1本も着氷が乱れただけで「今日の練習はすごく良かった」。その上で「ここからだいたい調子が落ちる。落ちても無理に拒否せずに受け入れて、上がっていくように考えたい」と冷静さも兼ね備える。

 自分に五輪の実感がなくても、サポートは特別態勢だ。この日はジャンプを跳んだ後に樋口コーチが持つタブレットで動画を確認。先月の4大陸選手権で日本連盟が試験導入したシステムを「自分がイメージしていたジャンプとどう違うか」と生かした。修正点をすぐ整理でき、現地でも練習の質は高い。

 団体戦は9日のショートプログラム(SP)出場が濃厚な立場だ。「どの試合でも練習してきたことに悔いを残さず、最後まで笑顔で終われたらなと思います」。最高の仕上げで、決戦の日を迎える。【松本航】