2月9日に開幕する平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)の日本選手団の結団式、壮行会が24日に都内で開かれ、主将を務めるスピードスケート女子の小平奈緒(31=相沢病院)が、選手団を代表して決意表明した。会見後には、20日に急逝した14年ソチ五輪代表の住吉都(みやこ)選手(享年30)についても言及。友の訃報に涙を流し、改めて自身3度目の五輪での活躍を誓った。

 小平の頬を、悲しみの涙が伝った。結団式後。急逝した信州大時代の同級生・住吉選手について話し始めると、思いがあふれた。「4年間、一番近くで一緒にやってきた仲間。信じられない…」。スッと小さな深呼吸を挟み「スケートに対する一生懸命な姿が頭から離れない」と声を詰まらせながら続けた。

 突然の訃報に動揺は隠せないが、前日23日には遺族の了解を得て、最後のお別れをしてきたという。「苦しくなった時、心の支えになってくれたり…。ご家族の方にも『都の分まで頑張って』と言われた」。視線を自身3度目の五輪に強引に移すと、「平昌で自分の力を出し、スケートが好きだという気持ちをみなさんに見てもらいたい」と力を込め、涙を拭った。

 結団式、壮行会では、そんな思いを隠し、主将として気丈に振る舞った。左耳の周りを短く刈り上げた新たなヘアスタイルで登壇し、123人の選手団を代表して決意表明。「テーマは百花繚乱(りょうらん)。それぞれの場所でみなさんが花を咲かせられるよう、私も自分の競技に専念し、大きな花を咲かせたい」と意気込みを語った。

 冬季五輪の歴代主将でメダルを獲得したのは88年カルガリー大会の黒岩彰、14年ソチ大会の葛西紀明の2例のみ。だが、過去のデータが通用しないと感じさせるほど、今の小平は強い。500メートルは一昨季から24戦無敗、今季は1000メートルで日本女子初の世界記録をマークし、2冠を視野に「主将で金」という高い壁にも挑む。

 清水宏保、岡崎朋美の滑りに魅了された地元、長野での五輪から20年。「清水さん、岡崎さんが見ていた景色を、私も自分の目で見てみたい」。友の思いも背負い、強く戦う。【奥山将志】