スピードスケート短距離のエース小平奈緒(31=相沢病院)が36秒94の五輪新記録で金メダルを獲得した。1000メートル銀に続く今大会2個目のメダル。日本のスピードスケート界では98年長野五輪男子500メートル清水宏保以来、女子では初の金メダル獲得となった。

 メダルを確信すると涙とガッツポーズが自然と出た。「まわりが何も見えないくらいうれしいかった。(この4年間)過去のことは考えないようにしてきたこともあったけど、全てが報われたような気持ちです。コーチだけでなく、学生やほかのチームの人たちが私を支えてくれた。みんなにありがとうという気持ちです」と喜びを口にし「最初から集中して自分の持ち味を出し切れたと思います」とレースを振り返った。

 今大会は日本選手団主将の大役も最高の結果で果たした。「まわりからはジンクスがあると言われて金が取れないと言われたりしたけど私には絶対500メートルに自信があるという強い気持ちがあったので、それを示すことができた」。16年シーズンから24連勝中。絶対女王は、ありがたくない“主将ジンクス”を他を圧倒する実力でふっ飛ばした。

 小平の直後の15組で滑った世界記録保持者で五輪2連覇中の李相花(28=韓国)との頂上決戦にも勝った。普段はW杯でしのぎをけずるライバルだが、銀メダルに終わった李相花の母国開催の重圧をおもんぱかった。泣きじゃくる敗者の李に、小平は手を差し伸べ、抱き寄せて、そしてなぐさめた。その姿は、スポーツマンシップとしても金メダル級の振る舞いだった。

 郷亜里砂(30=イヨテツク)は37秒67で8位、神谷衣理那(26=高堂建設)は38秒255で13位だった。