平昌五輪のスピードスケート女子500メートルで日本女子初の金メダルを獲得した

小平奈緒(31=相沢病院)が19日、平昌のジャパンハウスで会見を行った。

 -支えてくれた両親、相沢病院に対して

 小平 人に恵まれた人生。相沢病院との巡り合わせは必然であり偶然であったと思う。苦しい時も、成績よりも私の夢を応援してくれた。患者さん、職員みなさんで喜びを分かち合える機会があればいいと思っている。

 -ライバル李相花への思い

 小平 彼女は、私がW杯にデビューしたときから仲良くしてくれて、スケートに対する思いや素晴らしいものを持っていて、彼女からたくさんのものを学ばせてもらった。私がだめだった(試合の)時に、一人で泣いていたら、優勝した彼女が一緒に泣いて来たりもした。だから、昨日も私も彼女に寄り添った。友情、絆は深まったと思う。ソチ五輪の前に転倒が続くシーズンがあって、スケートが怖くなってしまった時期があった。そういう時もこうしたらいいよ、とかアドバイスをくれた。

 -1月に亡くなった住吉選手への思い

 小平 正直、彼女のことは何度も何度も思い出すことが多くて、やっぱり忘れられない。考えないようにしても、常に頭に浮かんでいた。それでも主将としては、レースに集中しなくてはならないと思っていた。言っても良いのかも分からないが、生前「奈緒が金メダルがとったら、私が金メダルを取ったのと同じ」と関係者から五輪前に聞けて、救われた思いだった。実際に金メダルを取れて、本当は本人の目の前で取ったよと報告したかった、それができないのは残念です(涙を流す)。

 -日本選手団の主将は金メダルが取れないジンクスがある。それでも引き受けたのは

 小平 恥ずかしがり屋ですし、人の前に出ることは苦手。取れないという話しも聞こえていた。あまり引き受けたくないなと思っていたが、「いまの奈緒にしか出来ない役目だと思う」と言ってもらった。主将として学べることは何だろうと思った時に、将来に生きてくると何となく思った。ジンクスは気にならないぐらい、自分のやるべきことに集中できた。次はチームの応援に回りたいと思っている。まずは男子500メートルをしっかり観戦したい。

 -次の挑戦は

 小平 500メートルの世界記録を塗り替えたい思いがある。シーズンの最後にカルガリーで試合が行われる。そこに出場し、今季出来るだけの挑戦はそこでやっていきたい。

 -今後について

 小平 まだ所属先との話しもしていないが、私としてはもう少しスケートを滑りたいなと思っている。

 -フィギュアスケートの羽生選手から勇気をもらった

 小平 羽生君の演技はテレビで見た。リンクに立ったとき、演技に入ったときの姿勢が違うなと思った。何も考えなくても技が決まる雰囲気。私もこんな雰囲気でいけたらいいなと思っていた。今後話す機会があれば、けがをしている時期にどんな論文をよんだのか聞いてみたい。

 -金メダルを取り、景色が変わった。日本でしたいこと

 小平 日本でどのような報道がされているか見ていない。周りの皆さんの目がどうか、実感していない。こうして記者のみなさんにたくさん集まって話せるのは、なかなかない。ありがたく思っている。解団式を終えたら、すぐ中国へ世界スプリントに行く。ゆっくりは出来ないが、まずは家族とゆっくり話しをしたい。

 -さまざまな言語が話せる

 小平 韓国後は少し。英語は苦手。オランダ語は最低限の受け答えは出来るが、限界。中国語は自己紹介ぐらいはできる。日本語は得意ではありません。

 -自分を表現する言葉があれば、3つ。

 小平 求道者、情熱、真摯(しんし)。

 -スケートの楽しさ

 小平 氷に呼びかけると、その声が帰ってくるのがスケートの楽しさ。自分から一方的に押しつけると声掛けをすると全く帰ってこない。

 -結城コーチからは何と声をかけられた

 小平 昨日は立派だったぞ、と。あとはチームメートの山中もレースを控えていたので、そっちの方に集中がいっていた。まだ結城先生と高めて行きたい。今回の経験も踏まえてお互いにステップアップできればいいのかなと思う。

 -究極の滑りのイメージは

 小平 金メダルだったり良い記録を出したことが究極の滑りかというと、たぶんそうではない。氷とどんなやりとりが出来たり。もしかしたら新しい景色だったり。それを表現できない楽しさが、究極のすべりだと思っている。会場の雰囲気の中で少し感じられた。それがゴールだと思うと楽しさがなくなる。また新しい景色を見てみたい。女子のレベルをとにかく引き上げたいと思っている。

 -選手生活のゴールは

 小平 今はまったく想像ができない。駆け抜けている途中、まだゴールは見えてこない。突然その日が来るのかなと思っている。