【続・さよならプロ野球】元ハム樋口龍之介氏 悔しさと野球ができる喜びのはざまで

さよならの、その先で―。昨年12月に、オフ恒例「さよならプロ野球」に登場した元日本ハムの樋口龍之介氏(28)の現在を追いました。「人間くささ」に引き込まれるスピンオフ企画。

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◆樋口龍之介(ひぐち・りゅうのすけ)1994年(平6)7月4日生まれ、横浜市出身。横浜高では1年秋から二塁手のレギュラーとして活躍して2年春夏と3年春の3度、甲子園に出場。立正大では副主将を務めた。17年にBC・新潟へ入団し、19年育成ドラフト2位で日本ハムへ入団。1年目の20年に支配下選手となった。通算47試合出場、打率1割7分6厘、1本塁打、4打点。21年オフに育成再契約となり、22年限りで退団。168センチ、87キロ。右投げ右打ち。

貴金属リサイクル業で外回り

戦力外通告から8カ月。今は何をしているのか? 少し照れくさそうに、樋口氏は答えた。

樋口氏まあだから、あれですよね…みんなが言うサラリーマン。サラリーマンって…まあだから、なんかサラリーマンっすよね、スーツ着て。今日は、たまたま練習だったんで、着替えてきました。

2月中旬に都内の貴金属リサイクル業を主とした会社に就職した。

自転車通勤で朝9時ごろに出社。「パソコンいじれないし…今は営業やってます」と外回りなどの業務をして、午後6~7時ごろに退勤。「月曜から金曜まで仕事をして土日休みという普通の…一般の感じです」と明かした。

サラリーマンをしながら全府中野球倶楽部でプレーしている元日本ハムの樋口龍之介氏(全府中野球倶楽部提供)

サラリーマンをしながら全府中野球倶楽部でプレーしている元日本ハムの樋口龍之介氏(全府中野球倶楽部提供)

現状を話す本人はスーツ姿ではなく、野球のユニホームを着ていた。「去年のファイターズのです。練習は何を着ても大丈夫なので」。

昨季から新調されたファイターズブルーのアンダーシャツ。ズボンは試合用で「ほら『ニトリ』も入ってます」。めくって見せた樋口氏はサラリーマンをしながら野球も続けている。

所属するのは、クラブチームの全府中野球倶楽部。取材日は平日のナイター練習日で、仕事を終えてから府中市民球場を訪れていた。

プロ時代と、野球に対する向き合い方は変わらない。

樋口氏僕は変わんないっすね。やってることは野球なんで。やっぱ(試合に)出たら打ちたいし、試合をやったら負けたくないし。正直に言っちゃったらレベルも違うし、環境も違うけど、やってるスポーツは一緒なんで。結局、野球じゃないですか。

香坂コーチ推薦→全府中野球倶楽部

身の振り方が決まっていなかった昨年12月。一区切りを付けるつもりだった。

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